2022年 3月

基板の表面処理について(その2)

前回に引き続き、基板の表面処理について紹介します!
前回記事の①プリフラックス ②半田レベラー はこちらからどうぞ)

③金メッキ
 銅の上にニッケル下地+金メッキを施した表面処理です。

 電解金メッキや無電解金メッキなど、用途により製法等は異なりますが、
 今回の記事は半田付け部分(レジスト開口部)の表面処理について比較説明
 させて頂くので、金フラッシュについて纏めて記載します。
 (半田付けと異なる用途の金メッキは別の記事にしようと思います)

 金フラッシュ、金フラや前後逆のフラッシュ金、
 ENIG(Electroless Nickel Immersion Gold)等
 色々な呼び方をします。
 弊社では「金フラッシュ」と呼んでいます

下地となるニッケルメッキの影響で、少し薄い金色の外観になります。

カードエッジ部と比べ、金フラッシュ部の
色味が異なるのが分かるかと思います。

・長所
 保管期限が長い(6か月)
 半田濡れ性が非常に高い
 平坦度が高い
 接触抵抗が低い

・短所
 金を使用するので高価
 金メッキ厚は薄い

等があります。

保管期限は、半田レベラーと違いがありませんが、
金フラッシュは、他の表面処理と比較して半田の濡れ性が高く、
表面の平坦度が高いことから、小型や多ピンのチップ部品を
実装する基板に向いています。
また、半田付けしない部分の耐錆性も高くなります。

前回と今回で、基板表面処理の特徴を紹介してきましたが、
一般的な採用数は
フラックス > レベラー > 金フラッシュ
となります。

コストは
フラックス < レベラー < 金フラッシュ
ですね。

なお、弊社での採用数は・・・・
金フラッシュ > レベラー > フラックス
だったりします。

早くから高速ディジタル基板の設計・製造をしていた為、
多ピンのBGAや小型チップ部品を搭載することが多く、
金フラッシュの採用が元々多かったことに起因しています。

用途・用法に応じた表面処理の選択が重要です。
以前のブログで紹介した基材の選定などと併せ、最適な提案をさせて
頂きますので、お悩みの際はお問い合わせいただければと思います。

@kitaoka

基板の表面処理について(その1)

今回のブログは、基板の表面処理について紹介します。

プリント基板は、紙やガラス基材に樹脂を浸透させた絶縁版に銅箔を
張りつけた銅張積層板(Copper Clad Laminate)を加工したものです。
エッチングや積層などを施してプリント基板を製造しています。

名前の通り、プリント基板の導電部分(パターン)は銅です。
空気に触れることで徐々に酸化し錆びてしまいます。

部品実装などで半田付けする部分を除き、レジストを
塗布することで表面を保護し、酸化を防止しています。
(酸化だけでなく、絶縁性等も含めた基板保護になります)

半田付け部分はどうするのか・・・と、いうのが、
今回紹介する基板の表面処理になります。

基板の表面処理は大きく分けて3種類あり、

①プリフラックス
②半田レベラー
③金メッキ

となります。

①プリフラックス
 水溶性フラックスを塗布した表面処理です。
 フラックス、プリフラックス、OPS(Organic Solder preservative)など、
 色々な呼ばれ方をします。弊社では「フラックス」と呼んでいます。

フラックスは無色透明で、何もコーティングされていないように見えます。
プリント基板の製造では最も一般的に使用される表面処理方法です。

・長所
 コストが最も安価
 半田濡れ性が良い
 平坦度があり、チップ部品の実装に適している

・短所
 保管期限が短い(通常、2~3カ月)
 導電性が無い

等があります。

●保管期限について
 適切な保管を行った場合の保管期限になります。
 通常は直射日光を避け、温度25度以下、湿度50%RH以下での保管が目安のようです。
 なお、IPCでは湿度10%RH以下で保管するように定められています。
 (IPCについては後日記事にする予定です)

なお、このフラックス仕上げは部品実装・半田付け前に
塗布されるフラックスとは全く異なる処理です。
区別するために、基板製造時の表面処理を「プリフラックス」、
部品実装前に行う処理を「ポストフラックス」と呼んでいます。

②半田レベラー
 溶融した半田を浸潤塗布し、余分な半田を熱風で吹き飛ばして仕上げる表面処理です。

パッドやランドに半田が付いた外観になります。
長期保管が必要な場合に選択されます。

・長所
 保管期限が長い(6カ月)
 フラックスの次に安価
 半田濡れ性が高く、特にリード部品の半田上がりが良い

・短所
 平坦度が低い
 半田ブリッジが発生しやすい
 スルーホール/VIAの内壁に半田が付く為、穴径が(他の表面処理に比べ)小さくなる

等があります。

平坦度が低いというのが、どういった状態かというと・・・

このように、半田は熱風で吹き飛ばした後に冷えて固まりますが、
半田の多い部分と少ない部分が発生し、凹凸が発生します。
余分な半田が半田ブリッジの発生につながることもあります。

また、半田レベラーには、共晶(有鉛)半田と鉛フリー(無鉛)半田がありますが、
現在は鉛フリーが殆どです。弊社でも指定が無ければ鉛フリーとなります。
(特殊用途でなければ共晶(有鉛)半田レベラーは選択されません)

続いて金メッキなのですが、長くなってしまいましたので・・・
次回もお楽しみに!

@kitaoka