基材について②

前回に引き続き基材のお話をさせて頂きます。

基板の材料は、基材に樹脂を浸透させた後、樹脂を硬化させて製造されています。

例えば「ガラエポ」と呼ばれている基板は、ガラス布基材にエポキシ樹脂を浸透・硬化させた
基板になります。
安価な片面材として使われる、紙基材にフェノール樹脂を浸透・硬化させた紙フェノール基板など、
基材・樹脂の組み合わせは、用途に合わせて選定する必要があります。

今回は耐熱材についてのお話しです。
と言いますのも、通常の基板であれば周辺温度が0~50度程度の使用環境です。
今回お話しする基板は、周辺温度150度という特殊環境下での使用となっており、
FR-4材では耐熱温度に問題があることが分かったためです。

FR(Flame Retardant)グレードとはNEMA/ANSIで規定された難燃性規格です。
FR-1~FR-5まで規定されており、FR-5が難燃性の最も高いグレードとなっております。
JISでも同等の規格がありますが、弊社ではほとんど使わず、FRグレードが一般的かと思います。
ちなみに、

FR-1、FR-2は、紙基材+フェノール樹脂製
FR-3は、紙基材+エポキシ樹脂製
FR-4、FR-5は、ガラス布+エポキシ樹脂製

と、なっています。

弊社では、FR-1~3に相当する基材はほぼ取り扱いがありませんので、
FR-4とFR-5についてみていこうと思います。

細かく言うと、
FR-4 一般用
FR-5 高耐熱
と、規定されています。

概ね、FR-4は120度以上、FR-5は150度以上の耐熱性となります。

弊社で取り扱うFR-4材は大半が日立化成材の「MCL-E-67」という基材です。
耐熱温度はカタログ値で120~130度です。

この基材では「150度耐熱」に応えることが出来ず、高耐熱材を選定することになりました。
候補としては2つの基材が上がりました。
耐熱温度140~150度の「MCL-BE-67G」
耐熱温度173~183度の「MCL-E-679W」

「MCL-BE67G」ではマージンが無い為、「MCL-E-679W」材を採用しました。
ちなみにメーカーは「FR-5」材としておらず、「FR-5相当」材となっております。

こちらを採用頂き、ユーザ様には問題なく使用いただいております。

特殊な使用環境であることが事前に分かったため、問題となりませんでしたが、
通常のFR-4材を使用していた場合、特性や強度の低下による事故の可能性もあります。
使用環境に応じた適切な基材選定が必要となる例となりました。

@kitaoka