基板設計のブログ

狭ピッチBGAの基板設計③(まとめ)

パッドオン貫通VIA(樹脂埋め)とパッドオンレーザーVIA(ビルドアップ)の
基板設計例をご紹介します。

1列目から3列目までの引き出し例です。

狭ピッチBGA

 

上図のように配線引き出しを行うのですが、配線幅・配線間隔(L/S)が
0.1mmを下回り、特にインピーダンスコントロールが必要な高速信号は
層数層構成にもよりますが、内層70μm程度と微細になる場合もあり
設計・製造の難易度が上がります。

基板設計時に基板工場と製造スペックの摺合せを行わないと、
基板製造出来ないデータを作成してしまうことになります。

パッドオン貫通VIA(樹脂埋め)、パッドオンレーザーVIA(ビルドアップ)、
どちらの工法を選択しても、狭ピッチBGAを採用する際は、基板設計メーカー、
基板工場との連携が不可欠です。

狭ピッチBGAの基板設計②(設計手法について)

弊社で実績のある狭ピッチBGAは、0.65mmピッチ、0.5mmピッチ、0.4mmピッチ等です。

外側の1列目は部品搭載面から引き出す事が出来ますが、2列目より内側は工夫が必要です。
弊社での基板設計は下記を採用して設計しています。

1.パッドオン貫通ビア
2.パッドオンレーザービア(ビルドアップ基板)

共にBGA取り付けパッド部分に直接VIAを設け、内層で配線する工法です。

それぞれのメリットとデメリットを簡単にまとめると・・・

<パッドオン貫通VIA(樹脂埋め)>

 パッドオン貫通VIA<図1 BGA部パッドオン貫通VIA例>

メリット
●貫通穴を使用するため、通常の貫通基板と同様の基板設計を行うことが可能
●少量製造時はビルドアップ基板に比べ低コスト
●対応できる基板工場が(ビルドアップ基板に比べ)多い
デメリット
●樹脂による穴埋め・硬化・蓋メッキと工数が増えるため、量産に向かない

 

<パッドオンレーザーVIA>

ビルドアップ <図2 BGA部ビルドアップVIA(フィルドビア)例>

メリット
●レーザーVIAを用いるため、設備があれば量産対応ができる
デメリット
●フィルドVIAを用いたり、ビルドVIAの垂直スタック等、高コストになる
●対応できる工場が少ない

 

個人的には「パッドオン貫通ビア」の方が基板設計がしやすいと感じています。
「パッドオンレーザービア」によるビルドアップ基板では、多段ビルドによる
層間VIAの組み合わせや、ビルドVIAの垂直スタックを採用できない場合など、
基板設計の難易度も上がる傾向が高いと感じています。

つづく

狭ピッチBGAの基板設計①

今回は狭ピッチBGAの基板設計について紹介します。

一般的なBGAパッケージのボールピッチは 1.27mm、1mm、0.8mm等があります。
DDR3やDDR4等のパッケージは規格でボールピッチが0.8mmになっています。

通常のBGAでは参考図のようにパッド間への配線や、パッド間にVIAを設けることが可能です。

BGA引出し部

参考図(1mmピッチBGA 配線引き出し部)

製品自体の軽薄短小化に伴い、BGAも小型化され、ボールピッチの狭い部品が存在します。
狭ピッチのBGAは、参考図のようにパッド間の配線やVIAを設けることができませんので
基板設計での工夫が必要となります。そのあたりを次回Blogで紹介します。

つづく

リジッドフレキ基板⑥

さて試作した結果は・・・結果からいうと失敗でした。

多層化に加え、インピーダンスコントロールの為に
層間厚を厚くし過ぎた為、屈曲性が損なわれるほど
板厚が厚くなっていました。

曲がるのですが、弾性が高くバネのように戻ってしまったのです。
いくら極薄多層板といえど、限度がありました。

・屈曲部の層数を減らす
・屈曲部の幅を最小限にする
・層間厚を見直す

などと言った見直しを行い基板を再作成したところ、
十分な屈曲性が得られ満足のいく製品となりました。

基板設計だけでなく製造・実装さらには基材に関する
知識の重要性に改めて気付かされました。

興味があれば是非お問い合わせください。

@kitaoka

リジッドフレキ基板⑤

採用に至った基材「MCF-5000I」ですが、メリット・デメリットを簡単にまとめます。

メリット
・リジッド部とフレキ部に同じ基材を用いる為、膨張係数が同じである為、VIAの信頼性が高い
・屈曲部の層数を増やすことが可能
・比誘電率/誘電正接ともに低く、高周波特性に優れている
・多層化できることから、インピーダンスの不連続も防止できる

デメリット
・薄い為にV-Cutによる基板加工が出来ない
・屈曲部が有る為、実装しにくい
・通常のリジッド基板と比べコストが高い

などです。
デメリット部については実装工場と連携し、外形加工方法を
工夫することで、実装時の問題点を回避しました。

コストについてはメリットが大きいことから了承頂きました。
基板設計については屈曲部で考慮する点がいくつかありましたが、
ノウハウとなるので今回は秘密です ^^;

つづく。

リジッドフレキ基板④

また、新たな問題点のひとつとして、本基板ではインピーダンス制御が
必要な信号を多用しておりました。一般的なリジッドフレキ基板は、
リジッド部にガラスエポキシ材を、フレキ部には両面のポリイミド材を
使用します。熱膨張係数の異なる基材であることからスルーホールの
信頼性が劣ることに加え、インピーダンスの不連続も考えられます。

フレキ部については、一般的に片面をGNDのメッシュ構造とすることで
屈曲性を保ったままインピーダンスコントロールも可能ですが、今回の
基板では高速伝送の信号に加え、電源を複数配線する必要もあり、4層以上の
配線層確保が必要となりました。多層化することで通常フレキ材の場合は
屈曲性が損なわれるというデメリットがあり、こういった懸念事項を
あげたところ、基板メーカーサイドから基材の提案がありました。

それが「MCF-5000I」という基材です。

全面ポリミド材で屈曲性に優れた「極薄多層板」というもので、特性も
調べたところ比誘電率、誘電正接は共に低く、高周波特性も満足できる
ものであり採用の方向となりました。
但し、コスト面では量産性に向いてない為、試作品限定といった感じかと。

つづく。

リジッドフレキ基板③

この記事の基板設計テーマは「超小型化」でした。

製品サイズは既にfixされ、条件緩和は無く、回路ボリュームも
サイズ感から、見るからにオーバースペックです。

リジッド基板では、基板を複数に分割しコネクタを利用して
スタックする必要があります。しかし、容積の問題とスタック用
コネクタ配置スペースの確保自体が難しい為、リジッドフレキ基板を
採用することになりました。

リジッドフレキ基板のメリットである
・屈曲性
・基板間のコネクタレス(コネクタ+ケーブル)
を有効活用しました。

つづく

リジッドフレキ基板②

本題の前に、大きく分けて3つあるプリント基板の
種類について紹介します。

・リジッド基板PCB (800x533)

[固い]を表す[Rigid]から、柔軟性のない基材を
用いたプリント基板で、一般的に[基板]と言うと、
これを指します。
英語では[Rigid printed circuit (wiring) board]
となり、硬質が一般的な事からRigidは省略し、
頭文字を取って、[PCB]や[PWB]とも呼びます。

[Rigid]は[リジット]と表記されることもありますが、ここでは[リジッド]と表記します。

 

・フレキシブル基板FPC (800x533)

[柔軟]を表す[Flexible]から、柔軟性のある基材を用いたプリント基板で、折り曲げが可能です。
一般的に[フレキ]と言うのは、ここからです。
英語では[Flexible printed circuit board]となり、頭文字を取って[FPC]とも呼びます。

 

 

 

・リジッドフレキシブル基板MCF-5000I (800x533)

[固い]部分と[柔軟な]部分を併せ持つプリント基板で、[リジッドフレキ]や[フレキシブルリジッド]とも呼びます。

 

 

つづく

@kitaoka

リジッドフレキ基板①

今回は、リジッドフレキ基板の設計事例を紹介します。

最初に、リジッドフレキ基板(リジッドFPC)とは、
部品実装性に優れたリジッド部と、屈曲性のあるフレキ部が
一体になったもので、基板同士を接続するコネクタが不要に
なる事から製品間を繋ぐ可動部への使用や、コネクタ同士の
スタックがない事から、屈曲性を利用し制限のある製品内にも
押し込める!?といった利点のある優れた基板です。

紹介する基板は、小さい製品に組み込む基板で、
当初は、一般的なリジッドフレキ基板で検討しましたが、
フレキ部の配線数が多く、インピーダンスコントロールも
必要で、多層化した場合の機械特性(屈曲性、柔軟性)と
伝送特性に懸念がありました。

このため、基材から検討したところ、「MCF-5000I」という
通常とは異なる、今回の条件に適した基材を見つけました。

つづく

@h.matsui

バックドリル まとめ④

少し間があきましたが、バックドリルの概要について
ご紹介させて頂きました。

基板設計時の苦労話としましては、今回のバックドリル
使用箇所は0.8mmピッチのBGA内ということもあり
前述の通り対象ビアのクリアランスが大きく
ネガ層の電源、GNDが分断されて電源プレーンの確保や取り回し
リターンパス用のGNDを設けるのに非常に苦労しました。

また、基板工場におきましても、ディジタル信号の高速化に伴い
数年前までは考えられなかった多様な加工技術を有しており
机上の計算からものづくりへのプロセスにおいての
ご苦労を垣間見ました。

最後に、今後もI/Fの高速化が進む中で、ユーザーと製造メーカー
そして私たち基板設計メーカーで、より連携を図る必要があると感じました。

もちろんこのボードはバッチリでしたよ (^^)

@h.matsui