タグ別アーカイブ: IPC

IPC規格~セミナー受講編~

IPC規格についての記事が長くなりましたので、一旦締めたいと思います。

今回、IPC規格について情報収集を実施しましたが、切っ掛けとなったのは
弊社社ベトナムからの声・・・と、以前の記事で紹介させて頂きました。

詳しく言うと、基板設計に特化したセミナーを探していたところ、
IPCのPCB設計セミナーがヒットし、IPC規格を知る切っ掛けとなりました。

IPCでは様々なトレーニング・セミナーを実施しており、前回の記事では
半田付けや実装基板のセミナーが日本でも実施されていることを紹介しました。

が、PCB設計のセミナーは日本では実施されておらず、英語でのセミナーでした。
私個人としては、英語でのセミナーはハードルが高いのですが・・・

救世主がいました!
弊社ベトナム人社員が英語に堪能で、英語のセミナーを苦とせず、
IPCによるPCB設計トレーニングを無事修了しました。

というわけで、弊社、IPCのPCB設計トレーニング修了者が在籍しております。

まだまだ国内では取得者は少ないかと思いますので、自慢させて頂こうと思います^^;

@kitaoka

IPC規格~基板製造編(後編)~

前回に引き続きIPC規格・基板製造編の後編として、検査基準について紹介します。
(以前紹介したカテゴリー図の青色の規格です)

2.検査基準について

プリント基板の検査基準として、「IPC-A-600」が規定されています。
この基準の中で製造精度がクラス分けがされており、
class1 一般的な電子製品
class2 専用電子製品
class3 高信頼性電子製品
と、分けられています。
同じ検査でも基準が異なれば良品・不良品に分かれますね。
様々な検査項目から少しピックアップして紹介します。

・クラスにかかわらず共通な例(基板外形)

・クラスごとに基準が異なる例①(導体間隙部分の導体残り)

・クラスごとに基準が異なる例②(ウィッキング)

このように、クラス分けにより製造精度を規定しており、
コストと品質を踏まえた良い分類・基準かと思います。

前回と今回で、2点をピックアップして紹介させて頂きましたが、
国内の基板製造メーカーで、IPC基準の検査をうたわれている
メーカーはまだまだ少ないようです。

一方海外では米国だけでなく、アジア圏でもIPC-A-600準拠や、
IPC-A-600 Class2基準と、明確に謳われているところもありました。
グローバルスタンダード・デファクトスタンダードとして基板製造
メーカーにも採用されていました。

弊社はまだ、製造・検査においてIPC基準を要求された経験はありませんが、
海外に拠点を持つ身として、強く印象に残りました。
今後の展開を考える契機となりそうです。

つづく

@kitaoka

IPC規格~基板製造編(前編)~

今回はIPC規格から基板製造に関して紹介します。
(前回紹介したカテゴリー図の青色の規格です)

前回のブログでも触れましたが、製造・実装を中心として
IPC規格が作成されていますので、内容もより濃く、
細分化して規定がされています。

・・・というわけで、製造関係については
目を通しきれていないのが現状なのですが、
その中で私が注目したのは2点あり、
1つめは基材の分類、
2つめは検査基準です。

少し長くなるので、2回に分けて紹介させていただこうと思います。
まずは基材の方から・・・

1.基材の分類について

基材の分類については「IPC-4101」という規格で規格化されています。
以前に別記事にて紹介した「FR-4材」についてもIPCでは特性によって
下記のように細かく分類されています。

左側にANSI規格、右側にIPC規格の分類番号が書かれています。
実際は、「IPC-4101/数字」という形式になります。
FR-4でもIPCの規格では複数種に分類されることが分かります。
(FR-4.0と、FR-4.1は、ハロゲンを含むか含まないか・・・
となりますが、本題とは異なりますので省略を・・・・^^;)

よく使われるFR-4材から例を挙げ、「IPC-4101/21」の該当シートから抜粋すると・・・

このような形で、具体的な数値を含めて規定されています。
Test Methodは、「IPC-TM-650」というテスト基準になり、
基材メーカーもこのテスト基準を採用してカタログ等で公開しています。

IPC規格を基準とした基材選定をすれば、昨今非常に多い、
代替材等で基材の変更を行う際に、特性の同じ基材を
選定しやすくなりますね。

つづく

@kitaoka

IPC規格~基板設計編~

今回はIPC規格から、基板設計に関する部分の紹介をしたいと思います。
(前回紹介したカテゴリー図の緑色の規格です)

とはいっても、IPC規格は、モノ作りの観点から規格が作成されており、
具体的な配線の手法等が規定されているわけではありません。

基板製造・実装に問題が出ないデータ作りの為の共通仕様が制定されています。

直感的にわかりやすい部分でいうと、部品のフットプリントの規格かと思いますので
こちらをピックアップして紹介させていただきます。

先ず、弊社も独自のフットプリント登録基準を制定しております。
ですが、ユーザ様でフットプリントの基準がある場合や、メーカー推奨の
フットプリントが存在する場合、どのように登録しているかというと・・・

ユーザ様基準 → メーカー推奨 → 弊社基準

と、優先度を設定し、必要に応じユーザ様の基準を支給頂き、それを基に登録しています。

その為、同じ部品でも基準が異なればユーザ様毎にフットプリント登録を変える必要が生じます。

これがIPC規格で統合されると・・・


IPCの規格では上図のように各種パッケージに対する統一した基準での
フットプリント登録方法が規定されています。
これを用いることで、実装時に問題が出ない統一したフットプリントが登録でき、
はんだ付けや検査等も含めて一気通貫したモノ作りが行えるわけです。

確認出来た範囲で、弊社の基準とIPCの基準が大きく異なっている部分は見受けられませんでした。

が・・・

上図のように、フットプリント登録に際し、角度の基準が異なっているものも・・・^^;
(180度異なっており、実装時の部品角度合わせが必要となる例ですね)

つづく

@kitaoka

IPC規格~規格紹介編~

今回はIPC規格の紹介をしたいと思います。

そもそもIPC規格は、設計・製造・実装・検査といったカテゴリーごとの
連携やコミュニケーションを含め、統一した基準でモノ作りを行うことを
目的として規定されています。

IPCの規格を実際の製品に至るまでのカテゴリーごとにまとめた表が下記となります。

下から上に・・・となっているので、少し見難いのですが、
製造・実装を中心に作られた規格なので、このような流れで
書かれているようです。

下側からざっくり説明すると・・・・
緑色部分が図面やデータフォーマット、設計等に関する仕様
青色部分が基板材料、基板製造に関する仕様
黄色部分が部品やケーブル、半田付け等、実装に関する仕様
というように、カテゴリーごとに細かく分類して規定されています。

この他に、この表に出てこない規格書もたくさんあり、例えばIPC-T-50という
規格書では用語と定義が規定されています。先日の「IVH基板設計事例紹介」で、
IVHの名称として、ベリードビア、ブラインドビアを紹介しましたが、
こういった名称も定義されています。
(ちなみに私は、表層to内層をIVH、内層to内層をブラインドビアと、覚えていました。
私の近くでは通じてますが・・・^^;)

次回以降、各カテゴリーの中からピックアップして紹介しようと思います。

つづく

@kitaoka

IPC規格~紹介編~

IPC規格をご存じでしょうか?

いきなり始めてすみません。
今回のブログは、「IPC規格」について紹介していきます。

まずは、IPCって何?と言うところから始めさせて頂きます。

IPCとは、アメリカで1957年に設立された
プリント回路協会(Institute for Printed Circuits)を
前身とする業界団体「IPC(米国電子回路協会)」です。

元々は名前の通り、プリント基板の製造や実装等、
電子機器と部品に関する標準化を目的として設立されました。

と、いうわけで、冒頭の「IPC規格」とは、
IPC(米国電子回路協会)で制定された規格
と、なります。

では、IPCがどういった団体かというと・・・・

①ANSIによって、標準化団体として認定されている
②90年代にはMIL規格やNASAの関連規格も移管されている
③ヨーロッパやアジア(ベトナムや中国など)にも海外オフィスがある

と、言った形で、元々は米国の業界団体ではあるのですが、
その規格は電子機器業界では世界中で広く使われており、
デファクトスタンダードになっています。

ちなみに私は・・・不勉強で、最近までIPC規格のことを知りませんでした。
ベトナム現地からの声もあり、調査・情報収集をはじめました。

国内ではJPCA規格に準拠といった形がまだまだ多いかと思いますが、
世界的にみると、メーカー・EMS業界では広くIPC規格が採用されており、
今後、国内でも購買条件として採用されていくのではないかと考えています。

次回につづく

@kitaoka