基板設計のブログ

Altium Designerの運用(メカCAD連携)

以前紹介した「基板設計CAD(Altium Designer)で3D(STEP)データ作成!」で、
Altium Designerから3D(STEP)データの出力を紹介させて頂きました。

今回は、メカCAD(M-CAD)等から出力した3Dデータとの連携について紹介させて頂きます。

取込み可能な形式としては、
・Step File(*.Step,*.stp)
・Parasolid File(*.x_t,*.x_b)
・Solidworks Part File(*.sldprt)
となっています。

例として、2枚の基板の干渉チェックを行っている様子を・・・
(下側の基板が取込みを行ったStepデータになります)

グリーンにハイライトされている部品が干渉している部品です。


基板間の距離を調整し、エラーが無くなった状態です。

2つ目の例は、3枚の基板が重なる部分を参照した例です。
(Base基板に2枚のDIMM(Stepデータ)と、筐体データ(Stepデータ)を取り込みました)


3枚の基板を各基板毎にハイライト

同じ基板で、基板と筐体データの確認を行った例です。
 
左図は筐体のリブと固定穴位置の確認、右図は筐体のリブとDIMMの干渉を確認しています。
(右図のリブ位置ではDIMMとの干渉が有った為、報告のうえ調整頂きました)

今回は基板対基板、基板対筐体を例に挙げましたが、コネクタと筐体・パネルの位置確認など、
取り込むデータにより様々な確認を実施できます。

どこを確認したいのか・・・と言った用途を絞り込んでの確認は、非常に有用となります。
筐体データや組み合わせ基板のデータをご支給頂くことで、設計中の基板の最適配置を
ご提案することが可能です。

ご興味ありましたら是非お問合せください。

@kitaoka

Xpedition導入しました!

新たなCAD、Siemens (元Mentor) 製Xpeditionを導入しました。

これで弊社は、プリント基板設計CADとして、
図研製 CR5000-BoardDesigner、CR8000-DesignForce
Altium製 Altium Designer
Siemens製 Xpedition
の3社製4システムを所有することになりました。

相互に互換するわけではないので使い分けは必要なのですが・・・・・

メインCADとしては図研製 DF/BDを使用しています。
使い慣れている・・・と言うのはもちろんあるのですが、アートワーク性に優れており、
かゆいところにも手が届く・・・と言う感じでしょうか。
CADの指定が無い物件は、図研製のCADを使用しています。

Altiumは、回路図+基板設計としての運用や、規模の小さいものがメインとなっています。

今回導入したXpeditionは・・・と言うと、
大規模な高速ディジタル基板を効率よく設計する為に導入しました。
根本の思想がアートワーク的な設計手法ではなく、自動・半自動的な配線を念頭に
置いたシステムで、効率よく結線するために特化していると感じています。
その為、半自動での配線が、アートワーク的な観点から修正したくなる配線も・・・^^;
(もちろん修正するわけですが)

導入したばかりでまだまだ使いこなしているわけではありませんので、
今後改めて紹介していけたらと思います。

@kitaoka

基板の表面処理について(その3)

以前に紹介した「基板の表面処理について」ですが、
金メッキについて、補足がありますので、その3として紹介します。

以前の記事は、
その1 ①プリフラックス ②半田レベラー はこちら
その2 ③金メッキ(金フラッシュ) はこちら
からどうぞ

金フラッシュの紹介の際、さら~っと「カードエッジ」に触れておりました。
改めてカードエッジ部の金メッキについて紹介します。

カードエッジ・・・と記載していますが、正式にはカードエッジコネクタです。
カードエッジコネクタとは、基板自体を直接別基板のコネクタに刺すことを
目的とした基板端に設けられた端子です。

代表例はPCI-Express等のパソコンの増設基板でしょうか。
他にはメモリーモジュールなどもカードエッジコネクタになります。
(古くはファミコンやスーパーファミコンのカートリッジなどもそうですね!)

カードエッジコネクタは挿抜を伴いますので、接触抵抗の低減、防錆等から
端子部分には金メッキが施されます。

複数回の挿抜で接触・摩擦が発生しますが、金フラッシュのように薄く付いた金メッキでは
すぐに剝がれてしまい、防錆等の効果が薄れてしまいます。

そのため、電解金メッキを使用し、厚く金メッキを施しています。

なお、上図でカードエッジコネクタについて、「ハードゴールド」と記載したのもミソなのですが、
純金メッキでは硬度が低い為、カードエッジコネクタのメッキには向きません。
コバルト等を含有した硬質の金メッキを施しています。

カードエッジコネクタ部の電解金メッキは耐摩耗性・耐錆性に優れたメッキ方法となります。
デメリットは・・・価格が高いことと半田付け性が低いことでしょうか。
(カードエッジ部に半田付けすることは・・・ほぼないと思いますが)

金メッキは他にも種類があります。今回紹介しませんが、ワイヤーボンディング用の
金メッキ等もあり、用途毎に最適な金メッキを選択する必要があります。

特殊な用途の金メッキにも対応しますので、ご相談頂けると幸いです。

@kitaoka

IPC規格~基板実装編~

複数回にわたり紹介してきたIPC規格ですが、今回は基板実装に関して紹介します。
(以前紹介したカテゴリー図の黄色の規格です)

以前のブログでも紹介したとおり、製造関係も細かく規定されています。

代表的なものは、
半田付けの規定    IPC J-STD-001
実装基板の検査規定  IPC-A-610
等になります。

J-STD-001はNASAが独自の規格を終了し、採用(スペースオプションと呼ばれる分野です)
するなど、半田付けをはじめ、部品実装に関する基準として標準化され、
高度に品質確保が必要な分野にも採用されています。

また、IPC-A-610は部品実装の検査規定となりますが、
製造精度の規定がされており、基板製造と同じく、
class1 一般的な電子製品
class2 専用電子製品
class3 高信頼性電子製品
と、分けられています。

検査基準から一部(半田付け部分)抜粋してみます。

・スルーホール部品の半田上がり量

・スルーホール部品の部品面側半田濡れ量

・表面実装部品の半田濡れ幅

例で挙げた半田付けをはじめとした実装基準と、検査基準がリンクした形で
規格化されており、クラス分けだけでなく、自動車産業向けや、航空宇宙産業向けなど、
追加の高品質・高信頼性オプション規格などがあり、広く要求性能をカバーしています。

なお、弊社では英語版を入手しましたが、日本語翻訳も進められており、
今回のシリーズで紹介した規格書のほとんどは日本語版も入手可能です。

半田付けのトレーニングや検査についてのセミナーも国内で行われており、
基板実装関連ではIPCの採用が進んでいることを実感します。
また、IPC-A-610に準拠した検査を謳っている実装メーカー様も多数あり、
今後、ますます増えていくのではないかと思います。

次回につづく

@kitaoka

IPC規格~基板製造編(後編)~

前回に引き続きIPC規格・基板製造編の後編として、検査基準について紹介します。
(以前紹介したカテゴリー図の青色の規格です)

2.検査基準について

プリント基板の検査基準として、「IPC-A-600」が規定されています。
この基準の中で製造精度がクラス分けがされており、
class1 一般的な電子製品
class2 専用電子製品
class3 高信頼性電子製品
と、分けられています。
同じ検査でも基準が異なれば良品・不良品に分かれますね。
様々な検査項目から少しピックアップして紹介します。

・クラスにかかわらず共通な例(基板外形)

・クラスごとに基準が異なる例①(導体間隙部分の導体残り)

・クラスごとに基準が異なる例②(ウィッキング)

このように、クラス分けにより製造精度を規定しており、
コストと品質を踏まえた良い分類・基準かと思います。

前回と今回で、2点をピックアップして紹介させて頂きましたが、
国内の基板製造メーカーで、IPC基準の検査をうたわれている
メーカーはまだまだ少ないようです。

一方海外では米国だけでなく、アジア圏でもIPC-A-600準拠や、
IPC-A-600 Class2基準と、明確に謳われているところもありました。
グローバルスタンダード・デファクトスタンダードとして基板製造
メーカーにも採用されていました。

弊社はまだ、製造・検査においてIPC基準を要求された経験はありませんが、
海外に拠点を持つ身として、強く印象に残りました。
今後の展開を考える契機となりそうです。

つづく

@kitaoka

IPC規格~基板製造編(前編)~

今回はIPC規格から基板製造に関して紹介します。
(前回紹介したカテゴリー図の青色の規格です)

前回のブログでも触れましたが、製造・実装を中心として
IPC規格が作成されていますので、内容もより濃く、
細分化して規定がされています。

・・・というわけで、製造関係については
目を通しきれていないのが現状なのですが、
その中で私が注目したのは2点あり、
1つめは基材の分類、
2つめは検査基準です。

少し長くなるので、2回に分けて紹介させていただこうと思います。
まずは基材の方から・・・

1.基材の分類について

基材の分類については「IPC-4101」という規格で規格化されています。
以前に別記事にて紹介した「FR-4材」についてもIPCでは特性によって
下記のように細かく分類されています。

左側にANSI規格、右側にIPC規格の分類番号が書かれています。
実際は、「IPC-4101/数字」という形式になります。
FR-4でもIPCの規格では複数種に分類されることが分かります。
(FR-4.0と、FR-4.1は、ハロゲンを含むか含まないか・・・
となりますが、本題とは異なりますので省略を・・・・^^;)

よく使われるFR-4材から例を挙げ、「IPC-4101/21」の該当シートから抜粋すると・・・

このような形で、具体的な数値を含めて規定されています。
Test Methodは、「IPC-TM-650」というテスト基準になり、
基材メーカーもこのテスト基準を採用してカタログ等で公開しています。

IPC規格を基準とした基材選定をすれば、昨今非常に多い、
代替材等で基材の変更を行う際に、特性の同じ基材を
選定しやすくなりますね。

つづく

@kitaoka

IPC規格~基板設計編~

今回はIPC規格から、基板設計に関する部分の紹介をしたいと思います。
(前回紹介したカテゴリー図の緑色の規格です)

とはいっても、IPC規格は、モノ作りの観点から規格が作成されており、
具体的な配線の手法等が規定されているわけではありません。

基板製造・実装に問題が出ないデータ作りの為の共通仕様が制定されています。

直感的にわかりやすい部分でいうと、部品のフットプリントの規格かと思いますので
こちらをピックアップして紹介させていただきます。

先ず、弊社も独自のフットプリント登録基準を制定しております。
ですが、ユーザ様でフットプリントの基準がある場合や、メーカー推奨の
フットプリントが存在する場合、どのように登録しているかというと・・・

ユーザ様基準 → メーカー推奨 → 弊社基準

と、優先度を設定し、必要に応じユーザ様の基準を支給頂き、それを基に登録しています。

その為、同じ部品でも基準が異なればユーザ様毎にフットプリント登録を変える必要が生じます。

これがIPC規格で統合されると・・・


IPCの規格では上図のように各種パッケージに対する統一した基準での
フットプリント登録方法が規定されています。
これを用いることで、実装時に問題が出ない統一したフットプリントが登録でき、
はんだ付けや検査等も含めて一気通貫したモノ作りが行えるわけです。

確認出来た範囲で、弊社の基準とIPCの基準が大きく異なっている部分は見受けられませんでした。

が・・・

上図のように、フットプリント登録に際し、角度の基準が異なっているものも・・・^^;
(180度異なっており、実装時の部品角度合わせが必要となる例ですね)

つづく

@kitaoka

IPC規格~規格紹介編~

今回はIPC規格の紹介をしたいと思います。

そもそもIPC規格は、設計・製造・実装・検査といったカテゴリーごとの
連携やコミュニケーションを含め、統一した基準でモノ作りを行うことを
目的として規定されています。

IPCの規格を実際の製品に至るまでのカテゴリーごとにまとめた表が下記となります。

下から上に・・・となっているので、少し見難いのですが、
製造・実装を中心に作られた規格なので、このような流れで
書かれているようです。

下側からざっくり説明すると・・・・
緑色部分が図面やデータフォーマット、設計等に関する仕様
青色部分が基板材料、基板製造に関する仕様
黄色部分が部品やケーブル、半田付け等、実装に関する仕様
というように、カテゴリーごとに細かく分類して規定されています。

この他に、この表に出てこない規格書もたくさんあり、例えばIPC-T-50という
規格書では用語と定義が規定されています。先日の「IVH基板設計事例紹介」で、
IVHの名称として、ベリードビア、ブラインドビアを紹介しましたが、
こういった名称も定義されています。
(ちなみに私は、表層to内層をIVH、内層to内層をブラインドビアと、覚えていました。
私の近くでは通じてますが・・・^^;)

次回以降、各カテゴリーの中からピックアップして紹介しようと思います。

つづく

@kitaoka

IPC規格~紹介編~

IPC規格をご存じでしょうか?

いきなり始めてすみません。
今回のブログは、「IPC規格」について紹介していきます。

まずは、IPCって何?と言うところから始めさせて頂きます。

IPCとは、アメリカで1957年に設立された
プリント回路協会(Institute for Printed Circuits)を
前身とする業界団体「IPC(米国電子回路協会)」です。

元々は名前の通り、プリント基板の製造や実装等、
電子機器と部品に関する標準化を目的として設立されました。

と、いうわけで、冒頭の「IPC規格」とは、
IPC(米国電子回路協会)で制定された規格
と、なります。

では、IPCがどういった団体かというと・・・・

①ANSIによって、標準化団体として認定されている
②90年代にはMIL規格やNASAの関連規格も移管されている
③ヨーロッパやアジア(ベトナムや中国など)にも海外オフィスがある

と、言った形で、元々は米国の業界団体ではあるのですが、
その規格は電子機器業界では世界中で広く使われており、
デファクトスタンダードになっています。

ちなみに私は・・・不勉強で、最近までIPC規格のことを知りませんでした。
ベトナム現地からの声もあり、調査・情報収集をはじめました。

国内ではJPCA規格に準拠といった形がまだまだ多いかと思いますが、
世界的にみると、メーカー・EMS業界では広くIPC規格が採用されており、
今後、国内でも購買条件として採用されていくのではないかと考えています。

次回につづく

@kitaoka

基板の表面処理について(その2)

前回に引き続き、基板の表面処理について紹介します!
前回記事の①プリフラックス ②半田レベラー はこちらからどうぞ)

③金メッキ
 銅の上にニッケル下地+金メッキを施した表面処理です。

 電解金メッキや無電解金メッキなど、用途により製法等は異なりますが、
 今回の記事は半田付け部分(レジスト開口部)の表面処理について比較説明
 させて頂くので、金フラッシュについて纏めて記載します。
 (半田付けと異なる用途の金メッキは別の記事にしようと思います)

 金フラッシュ、金フラや前後逆のフラッシュ金、
 ENIG(Electroless Nickel Immersion Gold)等
 色々な呼び方をします。
 弊社では「金フラッシュ」と呼んでいます

下地となるニッケルメッキの影響で、少し薄い金色の外観になります。

カードエッジ部と比べ、金フラッシュ部の
色味が異なるのが分かるかと思います。

・長所
 保管期限が長い(6か月)
 半田濡れ性が非常に高い
 平坦度が高い
 接触抵抗が低い

・短所
 金を使用するので高価
 金メッキ厚は薄い

等があります。

保管期限は、半田レベラーと違いがありませんが、
金フラッシュは、他の表面処理と比較して半田の濡れ性が高く、
表面の平坦度が高いことから、小型や多ピンのチップ部品を
実装する基板に向いています。
また、半田付けしない部分の耐錆性も高くなります。

前回と今回で、基板表面処理の特徴を紹介してきましたが、
一般的な採用数は
フラックス > レベラー > 金フラッシュ
となります。

コストは
フラックス < レベラー < 金フラッシュ
ですね。

なお、弊社での採用数は・・・・
金フラッシュ > レベラー > フラックス
だったりします。

早くから高速ディジタル基板の設計・製造をしていた為、
多ピンのBGAや小型チップ部品を搭載することが多く、
金フラッシュの採用が元々多かったことに起因しています。

用途・用法に応じた表面処理の選択が重要です。
以前のブログで紹介した基材の選定などと併せ、最適な提案をさせて
頂きますので、お悩みの際はお問い合わせいただければと思います。

@kitaoka